
うるま市勝連城跡からの眺め。木陰は気持ちいいけれど、日差しが強烈でまだまだ夏空が広がる。
9月上旬の二十四節気「白露」。朝晩に気温が下がり、草花に朝露が付き始めるころとされています。その暦通りに、夏休みが終わり、9月に入ると、朝晩を中心に次第に秋めいて、各地で季節の進みが感じられます。ただ、沖縄では日中はまだ日差しが強く、秋とまでは言えません。

秋とは言えないが、夏が少し変わってきた…そんなこの時期を表現する言葉があります。
南西諸島の最西端にある八重山地方では、白露から秋分までの頃を「白夏(スサナツ)」といいます。
白い夏?どういう意味でしょう。実は動詞の「白む」には「衰える、薄まる」という意味があり、衰えていく夏、つまり夏の終わりを意味しているのです。

この頃になると、沖縄付近を台風が北上したり、大陸から移動性高気圧が張り出したりして、北風が入りはじめます。それまでのむしっとした南風とは違い、湿度が低く、爽やかな風です。
そんな白夏の時期に吹く北風が「白北風」。スサキタカジ、ではなく、スサニスカジと読みます。沖縄のことばでは、北を「ニシ」というんです。なぜ「ニシ」というのかは諸説あるのですが、古(イニシエ)の祖先が北からやってきたことからとも言われています。
ですので、ニシカゼ・ニシカジというと、それは北風のこと。西風はイリカジといいます。ややこしいですよね。

太陽が地平線から上がる東はアガリ、大東島は方言でウフアガリジマ
太陽が地平線に沈む西はイリ、西表島はイリオモテジマ
沖縄は夏のはじまりが早い。4月下旬の二十四節気「穀雨」から6月中旬の「芒種」のころまでを若夏と呼びます。若夏という響きには、春に芽吹いた植物がぐんぐんと成長する活力ある様子を感じ取ることができます。
若夏が元気いっぱいの若者のイメージなら、白夏は白髪まじりのおじい、おばあのイメージかもしれません。沖縄の夏は長いけれど、そのなかにもグラデーションがあり、独自の言葉で移り変わっていく夏を表現しています。
秋に県外から沖縄を訪れた方は「沖縄はまだ夏だね!」と南国気分を楽しんでくれますが、
沖縄なりにゆっくりと季節は移り変わっています。強い日差しは残っていても、少しずつ北風が吹き始め、夏の空気がほんのり変わっていく白夏。
夏休みの沖縄もいいけれど、少し時期をずらして、白夏の沖縄をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。


